Alexander Technique

アレクサンダー・テクニーク

 

どんな存在でありたいですか?

どこへ向かいたいですか?

何が出来たらいいですか?

それらすべてが既にあなたと共にあるとしたら・・・

 

私たちは皆、楽で自由にそして機能的に動けるように創られています。

私たちは皆、優れた心身の英知をもって生活しています。

アレクサンダーテクニークは生まれ持ったその英知を体感し身体を通じて実践的に再学習する方法です。

そして、あなた自身が持っている、才能と可能性を発揮する事を手助けします。

 
 
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はじまり

アレクサンダーテクニークの発祥は19世紀後半にシェークスピアの朗読家であった、F.M.アレクサンダー氏によってあみ出され、欧米を中心に演劇、舞踊、音楽などの表現芸術の分野で広がりました。
FMアレクサンダー氏はパフォーマンスの改善のため、自らの体験をもとにある発見をしました。それは自分が変化させたい問題はその問題を生んだ自分と同じあり方では解決出来ないという事に気づいたことから始まります。

 

発見

彼の発見は部分的な見方ではなく、肉体と精神の全体性と関係性また内と外の関係性から取り組む必要があることに気づきました。彼は自分が改善の為にしている事が実は彼が本当に望んでいる事を導いていない事が分かり、そしてその為には習慣性から離れる事が必要だと考えました。
同時に彼は人間は脊椎動物として、本来構造的に効率的に動けるように出来ている事も理解しました。本来生き物として生まれ持ったインテグレーション(統一力)とコーディネーション(調整力)は頭と背骨の関係で既に実現していてる事に注目し、それをプライマリーコントロールと名付け研究しました。

私たちがその生まれ持った構造と共に活動した時、それは大抵静かにしかし力強く私たちの身体の中から支えてくれます。またその人のあり方としてより統合された、生命力があるその人自身であることが出来ます。そしてその存在感と必要に応じた自然な力は動物達や幼い子供達に見る事が出来ます。この発見は私たちには既に望むものは備わっている。それを邪魔しなければよいという考え方に繋がります。

ただ、長年の習慣的な身体の使い方や、身体を感じる感覚の低下でそれが発揮されていない事が多くあります。経験や信念が本来の力を邪魔する事もありえます。そういった事から私たちのあらゆる葛藤が始まります。

 

アプローチ

そこでアレクサンダーテクニークはこの複雑な私たちの葛藤をあえて、頭と背骨の関係という非常にシンプルなテーマで、自己を観察、習慣を解放する術につなげました。私たちが自分自身を邪魔しなければ、潜在的にもっている身体の調和や統一を活用する事が出来、能力の可能性を探索する事ができるのです。

 

どのように

FMアレクサンダーが自ら行った継続的な観察と体験をハンズオンワークという教師が手を使ったワークと言葉がけによってサポートされながら学習者はマインドとボディの両面で体験的に実験と実践をしていきます。

生活や実践の中で活用する為には習慣性を引き起こす刺激に対しどう対応するかが大切なポイントになります。アウェアネス、インヒビション、ディレクション、プライマリーコントロールなどと呼ばれる原理をもとに刺激の少ない状況から観察、体験、新しいやり方の練習をします。

体験を自身の生活に近づけるためのアクティビティワークやプロシジャー(手順)で原理を応用していきます。

近年はアレクサンダーテクニークの極印でもあるプライマリーコントロールやインヒビションの理解や体現の為、イメージや解剖学的な理解を深めたり、ゲームや実験など、世界の教師がさらなる成長の為、様々な新しいアイディアでバリエーションのあるアプローチを提案しています。

アレクサンダーテクニークはレッスンやワークショップ、日常生活の中で、または専門的な活動や動きの中で活用されています。
一般の方々から、あらゆる分野の専門家までが学び、欧米の舞台芸術系の大学では必修科目にもなっていますし、医療の分野のリハビリ、心理学や予防医学の面でも取り上げられ科学的研究発表もされています。日本では1980年代から少しづつ広まり、1990年代から2000年代に日本で養成校も開校し日本人教師も増え、現在は急速に知名度をあげています。 

 

さらに私が思う事

「身体の動きや感覚を取り戻す事」
人は皆、動きの中で生活をしています。止まっているように思える時も身体は常に動いています。また、思考や感情も動きとして私達に存在しているととらえられます。人は生き物として生まれてから死ぬまで動きと共に生活をしています。

五感が人にとって大切である事が語られますが、身体を感じる感覚はあまり取り上げられません。私たちが生きて行く上でそれらの五感と同じように、身体を感じる感覚は大切な感覚機能です。

アレクサンダーテクニークの中でも、身体を感じる感覚/身体感覚を高める事は重要な部分です。その機能は日常的に忘れられていたり、習慣になっている筋肉の質や緊張で感じられなくなっていたり、あてにならなくなっている場合が多くあります。
身体を感じる事を取り戻す中で、自分がどのように身体を使っているか、その質、動き、繋がりをより認識する事が出来ます。それは心地よいものも悪いものもあるでしょう。だた、その感覚を高める事は本来生まれながらにもっている効率的な動き(初源的動き)を再確認する事につながります。物理的な筋肉の質の知覚や変化から心や思考の習慣的パターンの気づきや変化にもつながり、その相互性が明らかになることも多々あります。そして、結果的に心身の不調の改善につながります。

 

習慣に気づく事

私たちの「習慣的な使い方」が私たちが本来持っている能力の邪魔をしている事がありますが、習慣は必要性があって身についている事です。現在の自分に必要であるかは別として、無意識の英知の中で選択された事柄の繰り返しによって体得されたものです。

ですから「習慣的な使い方」は負の要素ではないのです。見つけるとすぐに排除して「正しい」事をしたくなりますが、無意識の意図を知る為にそれを十分観察し理解する事が必要です。自分が望んでいる事が無意識に形を変えて習慣となっている場合は多いので、自分の思考や筋肉の動きで何が望んでいる事で、何が邪魔になっているかをはっきりさせることでアプローチが決まります。
習慣は年月をかけて培った物ですから、無意識に繰り返されます。持っている能力を発揮する為に、淡々と気づき選択し行動にすることの繰り返し、そのプロセスそのものがアレクサンダーテクニークです。取り組むべき習慣は正されるべき間違った事ではなく、無意識の自分を理解する素材として活用出来るものです。

習慣の為にずれてしまった感覚、働いていない協調作用や不必要な筋緊張はすべて正当な意味があります。答えは自身の中にあります。自分や関係性を大切にしながら、身体からのフィードバックを認識し、自身が望むあり方や動きに繋がり選択することがアレクサンダーテクニークを通じて出来る事です。